上野学園古楽器コレクションは17・18世紀のヨーロッパ音楽を楽器の面から研究することを目的と して収集されてまいりました。母体は1975年にコペンハーゲンの著名な楽器商エミール・ヒョルト・オク・センネル社から購入した53点の楽器で、中には第2次世界大戦前にドイツの著名な楽器収集家フ リッツ・ヴィルトハーゲンが所蔵していた楽器も含まれています。
コレクションは弓奏弦楽器のヴィオラ・ダ・ガンバ、ヴィオラ・ダモーレ、撥弦楽器のリュート、 マンドール、ハープが中心ですが、その後歴史的観点からも重要な鍵盤楽器・管楽器・打楽器が付加されて今日に至っています。(現在約150点の楽器を所蔵しています。)
ヨアヒム・ティールケ
(1695年)
ヨハン・パウル・ショルン
(1701年)
ザーミュエル・ヒュンガー
(1736年)
マッジーニ派
(17世紀前半)
製作者不詳
(18世紀)
マーニョ・デュイフォプリュカール
(1609年)
ジョヴァンニ・スモルソーネ
(1722年)
マテウシュ・クフィアトコフスキ
(1739年)
マティアス・アルバーニ
(1696年)
ルノ=シャトラン
(18世紀末期)
ランツ・ミュンツェンベルガー
(18世紀末期あるいは19世紀初期)
ピーター・ブレサン
(18世紀初期)
トマス・ステインズビイ・ジュニア
(18世紀第2四半期)
プリュダン・ティエリオ
(1770年頃)
本学では、1963年に日本の音楽大学で初のチェンバロ専門を設置、1969年からは古楽の専門課程(リュート、ヴィオラ・ダ・ガンバ、リコーダー)を創設しました。その拠点となったのが、1960年代の開設当初から今日まで、日本の古楽界をリードする演奏家を数多く輩出してきた「古楽研究室」です。これまでさまざまな演奏会を通して、古楽演奏の可能性を切り拓いてきた本研究室では、今年度も「古楽研究室演奏会」や「昼の演奏会」などの斬新な企画公演を開催予定です。
製作地:ハンブルク
製作年:1695年
6弦のバス・ガンバ。ヴィオラ・ダ・ガンバは弓奏弦楽器。スペインで生まれ、ルネサンス~バロック期にヨーロッパ全土で使われるようになった。形はヴァイオリンやチェロに似ているが、調弦法・演奏法など多くの点で異なる。ヴィオラ・ダ・ガンバは楽器を脚で支えて構えるところから、ヴィオラ・ダ・ガンバ(脚のヴィオラ)と呼ばれるようになった。 ティールケはハンブルクで活動した弦楽器製作の名工。この楽器には女性の頭部を彫った美しい頭部飾りがついている。