卒業生の活躍 水村一陽さん

経済的に苦しかった私に、
音楽を学ぶチャンスを与えてくれました。

大阪フィルハーモニー交響楽団 2ndオーボエ兼イングリッシュ・ホルン
水村一陽さん
演奏家コース オーボエ専門 2013年卒業

ー上野学園大学に進学した理由を教えてください。

上野学園に出会ったのは、運命だと思います。17歳の時に父が大病を患い、生活・金銭的にも苦しい環境でした。それでも音楽は学びたいと、1年間は別の音大に通っていましたが、経済的な苦しさからついに大学を辞めることに。非常に辛い決断で、当時からの恩師である広田先生に泣きながら相談をしたのを今でも覚えています。そこで広田先生から教えていただいたのが、上野学園大学の演奏家コース特待生制度。藁にもすがる思いで受験しました。結果は合格。お陰で諦めかけていた音楽大学で4年間学ぶことが叶いました。この特待生制度がなければ、私はきっと音楽も辞めていたと思います。

ー大学時代の印象的な思い出は?

いちばんの思い出は、第60回定期演奏会にてオーボエ協奏曲のソリストをやらせていただいたことです。大学生活はひたすらアルバイトと練習・勉強に明け暮れる日々。いつも全力でした。そして、常に「諦めない気持ち」でいるよう心掛けていました。

ー大阪フィル入団までのいきさつは?

大学4年生になって自分の進路にとても悩みました。一般企業の就職活動もしましたし、自衛隊音楽隊、教員採用試験などいろいろ手を出しましたが、自分の行きたい方向ではなく、もやもやとしていました。身近に素晴らしい演奏家の先生がいる環境のなかで、オーケストラの演奏者に憧れを持っていたからです。自分も大好きな音楽で生きていきたいと、それしか考えられなかったのです。

そこで、キャリアセンターの方々と相談しまして、思い切って就活をやめることにしました。親とは大ゲンカになりました。先が見えない不安がありましたが、今思えば無理に就職をしなくて良かったと思います。卒業後はフリーター生活で、卒業5年目にしてやっと夢を叶えました。

ー上野学園での経験がどのようにお仕事に生かされていますか?

プロオケに入団すると次から次へと公演があり、譜読みの量も膨大です。でも、在学中に演奏家コースの実技試験で莫大な量の曲を譜読みしていましたから、そんなに苦労することはありません。もう1つはリードメーキングのレッスンがあったこと。オーボエはリードの良し悪しで大きく左右される楽器です。マンツーマンで丁寧にご指導いただけるのは、上野学園のオーボエクラスならではだと思います。

ー改めて、上野学園の魅力とは?

上野学園大学では、ソリストオーディションなど誰でもチャンスが与えられる環境があります。それに私にとって大きいのは特待生制度があったことです。経済的に苦しかった私に音楽を学ぶチャンスを与えていただいたことは、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。そして、素晴らしい先生方や一生の仲間にも出会うこともできました。これからもずっとこの縁を大切にしていきたいと思います。

ーこれからの目標は?

大フィルに入れたことに満足せず、より高度な技術を習得していきたいです。より聴衆の心を動かせるような演奏技術を習得すること、そしていつか個人リサイタルを開いてみたい。達成したい目標はたくさんあるんです‼︎

あとは音楽とは別に......今まで迷惑をかけてきた親に恩返しの気持ちを込めて、実家を建て直したいです。ボロボロなので(笑)。

ー最後に、受験生にメッセージをお願いします。

不自由なく音大を受験できる環境にいることそのものが、非常に恵まれていると思います。だからこそ、あなたのサポートをしてくださる周りの方々への感謝の気持ちを忘れずに、その期待を裏切らないよう行動してほしい。何をするにも、決断し行動するのは自分自身です。嫌なこと、辛いこともあると思いますが、どうか逃げずに立ち向かってください。頑張ればその分、いいことが自分に返ってきます。応援しています。

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