音楽療法士養成教育課程

音楽の専門教育を受けながら音楽療法を習得、プロとして福祉のフィールドへ

教員メッセージ

音楽を専門に学べる環境で、音楽療法を学んでほしい

入学前から音楽療法を知る人は多くはありませんが、他の音楽の演奏にはない難しさ、そして達成感を知り、入学後に本格的に学び始める先輩もいます。専門の知識や技術の習得はもちろん、演奏技術も高い方がメリットは大きいですから、音楽の専門教育を行う上野学園大学短期大学部で音楽療法を学ぶ価値は大きいと思います。本学で音楽を学ぶのであれば、ぜひ接してみてほしいですね。

音楽療法中山晶世 講師
日本音楽療法学会認定音楽療法士。現、藤代音楽療法臨床研究所他の音楽療法士。

音楽療法とは

乳幼児から高齢者まで、心身にさまざまな病気や障害を持つ人を対象に、音楽を通じてコミュニケーションを図り、健康の回復をサポートする音楽療法。近年、高齢化が進む中で、新しい学問、音楽実践の領域として注目されています。

上野学園大学短期大学部の音楽療法士養成教育課程は、ピアノ、器楽、声楽それぞれの専門実技を学びながら、音楽療法士の資格を取得できることが大きな特長です。確かな演奏技術と専門知識を身につけたプロとして、福祉の現場で未来に希望をもたらすことのできる人材の育成を目指します。

資格と将来

基礎から応用までを段階的に学び、1年次の2月からは介護施設や社会福祉施設などで実習を行います。卒業時、音楽療法士(2種)養成に関する科目の所定の単位を修得した学生に、「全国音楽療法士養成協議会認定音楽療法士(2種)」の称号を授与します。

音楽療法士は、増加傾向にある福祉分野での就職を目指すのに有利な資格です。実際に本学でも、医療や福祉関係施設に就職する学生が増えています。

音楽療法の対象者と行う援助

対象 援助
障害児・者 発達障害/肢体不自由/感覚障害など 発達支援/行動の改善/家族への支援/余暇の提供
高齢者 認知庄/後遺症、慢性疾患/健康な高齢者など 介護予防/リハビリテーション/余暇の提供/生活の質の向上
精神疾患児・者 統合失調症/うつ病など 症状の軽減/自己表現、自己発見/リラクゼーション/余暇の提供

※履修科目については『履修計画表・シラバス』を参照してください。

音楽療法士(2種)養成に関する科目

  • 和声法Ⅰ
  • ソルフェージュ
  • ピアノ伴奏法演習2
  • 高齢者の音楽療法
  • 医学概論
  • 和声法Ⅱ
  • 鍵盤和声Ⅰ
  • 指揮法
  • 思春期・成人の音楽療法
  • 生理学
  • 作編曲法
  • 鍵盤和声Ⅱ
  • 副科ピアノ
  • 音楽療法技法
  • 心理学
  • 音楽史
  • 合唱Ⅰ
  • 副科声楽
  • 音楽療法総合演習
  • 臨床心理学
  • 民族音楽学
  • 合唱Ⅱ
  • 副科器楽
  • 教育原理
  • 発達心理学
  • 音楽心理学
  • ピアノ伴奏法
  • 音楽療法概論
  • 音楽科教科教育法
  • 音楽療法実習
  • 専門実技Ⅰ
  • ピアノ伴奏法演習1
  • 児童の音楽療法
  • 社会福祉
  • 情報とデータサイエンスⅠ
  • 英語Ⅰ

授業ピックアップ

音楽療法概論

音楽療法とは何か、音楽療法の定義、音楽療法の歴史をはじめ、音楽療法に必要なさまざまな理論、セッションの流れ等について学ぶ授業。知識を得るだけでなく実践にも結びつけられるよう、DVDで実践現場を観ながら授業を進めていきます。

音楽療法技法

音楽療法の「音楽」は、対象者のニーズに応じて提供されなければなりません。この授業では、さまざまなセッション形態を想定し、対象者に合わせた音楽の提供を数多く体験。音楽療法に必要な対象者とコミュニケーションするための音楽能力の向上を目指します。

音楽療法実習

1年次前期に事前指導、夏休みより実習(音楽療法実習・介護実習)、2年次前期に事後指導を行います。高齢者施設、児童施設(音楽療法教室)などの見学、実習を通して実際のセッションに触れ、事後には実習で学んだことや疑問点を話し合い、音楽療法の理解を深めます。

先輩の声

現場にも通じる音楽療法の大事な部分をしっかり学べた2年間

音楽療法は、大好きな音楽を福祉や医療の現場に役立てられる、この先の発展が期待されている分野。音楽療法士を目指して上野学園大学短期大学部に入学した私にとって、音楽の専門的なレッスンを受けながら音楽療法を学べた2年間は、とても充実していました。
卒業後は、高齢者施設に音楽療法士兼介護士として4年間勤務し、現在は音楽療法の活動を行うNPOの専属セラピストとして働いています。社会人として現場に出てみると、当時、授業では理解しきれなかったことも「こういうことだったんだ!」と、つながることがたくさんあります。改めて、音楽療法の大事な部分をしっかり学んだうえで現場に出ることができたと感じています。
音楽療法の醍醐味は、音楽という媒介があることで、ケアする側もされる側も対等に楽しめることだと思っています。療法である以上、症状がよくなる、あるいは悪化しないといった効果が見込めることは大前提ですが、音楽を楽しむことで自然と生き生きとした気持ちが湧いてきて、人間らしく生きていくことができる。そういった温かさにとても魅力を感じています。

特定非営利法人 心のおしゃべり音楽工房
加瀬千穂美さん
2012年 短期大学部 クラリネット専門卒業

音楽療法の学びを通じて演奏に対する考え方も変わりました。

高校生の時、パンフレットで見つけた音楽療法。「音楽で人を癒やす」。その言葉に心惹かれ、ぜひ学んでみたいと上野学園大学短期大学部に入学しました。
1年次は座学が中心。2年次は、その知識を生かして、老人ホームや障害のある子どもの施設で実習します。週に1度の老人ホームでの実習は、学生自ら30分間のセッションのプログラムを考えて挑むというもの。対象者に合った音楽を選曲し、本番の進行もすべて自分たちで。そんな体験を通じて、専門のトロンボーンの演奏にも変化が。以前は自分が上手に吹くこと、間違えないことばかり考えていましたが、自分よりも聴く人の気持ちに寄り添った演奏ができるようになりました。
卒業後は都内の老人ホームで音楽療法士として働く予定です。ここでの学びを生かし、たくさんの方を音楽で手助けしていきたいです。

短期大学部 トロンボーン専門 2015年入学(2017年卒業)
長谷川花菜さん/新潟県立新潟中央高等学校出身

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