ヨアヒム・ティールケ
ハンブルク 1695年
ヴィオラ・ダ・ガンバ

ヴィオラ・ダ・ガンバは、スペインで生まれ、ルネサンス〜バロック期にヨーロッパ全土で使われるようになった弓で弾く弦楽器です。形はヴァイオリンやチェロに似ていますが、調弦法・演奏法など多くの点で異なります。6本の弦とフレットのついた指板を持つこの楽器を、ひとことで 「弓で弾くギター」 と表現することができるでしょう。

ルネサンス、バロックの時代をとおして、二つの弓で弾く弦楽器が使われていました。一つは腕で支えるヴィオラ・ダ・ブラッチョ(ヴァイオリンの一族)、もう一つは脚にはさんで楽器を持つ、ヴィオラ・ダ・ガンバです。ヴァイオリンは劇場や舞踏で威力を発揮し、ガンバの一族は、教会や宮廷で重要な役割りを果たしました。たくさんの名曲を残しましたが、やがてその座をヴァイオリンに譲ります。モーツァルトの時代になると使われなくなり忘れさられました。

20世紀に入り、「昔の音楽は、その当時使われた楽器で演奏してはじめて生き生きと蘇る」という考えから、ガンバを含めた古楽器の演奏が活発になりました。今日ではすぐれた専門家だけでなく、たくさんの国で愛好家によるヴィオラ・ダ・ガンバ協会が設立され、ガンバ合奏が楽しまれるまでに普及しています。

写真の楽器は、17世紀終り頃もっとも有名だった J. ティールケの作品。上野学園所蔵楽器にはこのほか、歴史的に重要な作家によるガンバが数点含まれています。